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有名なABCDE理論を活用する。

  • 執筆者の写真: 今井 秀司
    今井 秀司
  • 4月19日
  • 読了時間: 4分

思考を整える習慣づくり。

―― ABCDE理論で感情の流れを立て直す。



「またうまくいかなかった」

「なんでこんなこと言ってしまったんだろう」

「自分はダメな人間だ」


こうした感情の渦に巻き込まれてしまうと、気力が奪われ、行動の質も下がっていきます。

でも、その感情の多くは「出来事そのもの」が引き起こしたのではなく、

自分自身の“解釈”によって引き起こされている可能性があるのです。


この視点に立ち、感情のパターンを整えるための心理学的アプローチが、「ABCDE理論」です。



ABCDE理論とは何か?


ABCDE理論は、アメリカの心理学者アルバート・エリスによって提唱された認知行動療法のフレームワークで、感情や行動の背景にある“思考の構造”を整理し、より現実的で健全な解釈を育てるための手法です。


それぞれの頭文字は、以下の5つを意味します。


A(Activating event)= 出来事

B(Belief)= 信念・思考(その出来事に対して自分がどう捉えたか)

C(Consequence)= 結果(感情・行動)

D(Disputation)= 反論(思考を見直す)

E(New Effect)= 新しい効果(感情・行動の変化)


このABCDEを順番にたどっていくことで、

「自分の感情や行動がどのような思考によって引き起こされたのか」

「もっと現実的で柔軟な捉え方はできなかったか」

を検討することができるのです。



日常での例で考えてみる。


たとえば、次のような出来事があったとします。


A(出来事)

会議中に自分の発言が無視されたように感じた。


B(信念・思考)

→「自分の意見なんて誰も聞いていない。やっぱり自分には価値がないんだ」

→「自分は職場に必要とされていない存在だ」


C(結果)

→ 落ち込む、話すことが怖くなる、他人の視線が気になるようになる。


ここまでが「自動的に起きた感情の流れ」です。

では、ここに対して「D(反論)」を入れてみましょう。


D(反論)

・「本当に誰も聞いていなかったのか? たまたま話が別の方向に進んだだけかもしれない」

・「今までに発言を受け入れられた経験もあったのでは?」

・「自分の価値は“発言が取り上げられるかどうか”だけで決まるものではない」


こうした反論を丁寧に行うことで、思考が現実に近づき、過度な自己否定から距離を取ることができます。


その結果として、


E(新しい効果)

→「今回はタイミングが悪かったかもしれない。また次の機会に伝えよう」

→「少し勇気を出して、後から一対一で補足説明してみよう」


というように、行動や感情の流れをポジティブに立て直すことが可能になります。



なぜこのフレームが有効なのか?


人は「出来事そのもの」に反応しているようで、

実は「その出来事をどう解釈したか」によって反応しています。


同じ出来事でも、AからBが違えば、CもEも変わります。


ABCDE理論は、その“思考の部分(B)”に光を当てるためのフレームです。

特に、完璧主義傾向がある人や、失敗を引きずりやすい人にとっては、

このフレームを使って“別の見方”を育てることが、回復力を高めるカギになります。



自分で実践するためのコツ


1.紙に書き出す。

 感情に飲まれているときは、頭の中だけで整理するのが難しいことがあります。

 AからEまでをノートに書いてみるだけでも、冷静さが戻ってきます。


2.“D”を丁寧に育てる。

 反論のステップでは、自分を否定せず、事実に立ち戻る姿勢が大切です。

 「本当にそうか?」「別の可能性は?」という問いかけを自分に向けてみてください。


3.慣れるまでは、過去の出来事を使って練習する。

 いきなりリアルタイムで活用するのが難しい場合は、過去の感情的な出来事を振り返りながら、ABCDEに当てはめてみるのがおすすめです。



自分の感情は、自分の思考から生まれている。

そのシンプルな事実に気づき、思考を少し見直すことで、感情も、行動も、少しずつ整っていきます。


ABCDE理論は、心の中に小さな“整理棚”をつくるような作業です。

毎日の小さな実践のなかで、あなた自身の回復力や感情の柔軟性は、着実に育っていくはずです。


まずは今日の出来事をひとつ取り上げて、AからEまで書き出してみてください。

きっと、見えてくるものが変わってきます。




ピースライフジャパンの今井によるセルフマネジメントの重要性と具体的な方法を情報発信するウェブサイトコンテンツの名称です。随時更新。


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