マキシマイザーとサティスファイサー
- 今井 秀司
- 4月20日
- 読了時間: 4分
その選択、本当に自分を幸せにしていますか?
―― マキシマイザーとサティスファイサーから学ぶ「選択の質」

情報があふれ、選択肢が無限にある現代。
仕事の進め方、学び方、働く場所、付き合う人、SNSでの表現、あらゆる場面で「何を選ぶか」が私たちの日常をつくっています。
しかし同時に、「選べない」「選んでも後悔する」「もっと良い選択があったのではないか」と、
決断への疲労感や迷いを感じる人も少なくありません。
このような選択のパターンに関する心理学的な視点に、
マキシマイザー(maximizer)とサティスファイサー(satisficer)という2つのタイプがあります。
今回はこの概念を通して、「より良い選択ができる自分」とは何かを一緒に考えてみましょう。
マキシマイザーとは何か?
マキシマイザーとは、「可能な限り最善の選択をしようとする人」です。
選択において完璧を求め、できる限りの情報を集め、比較し、評価し、常に“ベスト”を追い求めます。
一見すると理性的で賢明に見えますが、マキシマイザーには以下のような傾向があります。
・選択に時間がかかる。
・選んだあとも「もっと良い選択があったのでは」と後悔しやすい。
・達成しても満足度が低い。
・他者との比較が多く、劣等感や不安が強まりやすい。
たとえば、転職活動で内定を得ても、「もっと条件の良い会社があるかもしれない」と迷い続け、最終的にどこにも決めきれないといったケースがそれにあたります。
サティスファイサーとは何か?
サティスファイサーは、「一定の基準を満たせば満足する人」です。
最善よりも“十分に良い”を選び、自分にとっての納得感を大事にします。
このタイプは次のような特徴を持っています。
・決断が早く、後悔しにくい。
・選んだものに満足しやすい。
・比較ではなく「自分にとってどうか」を軸に考える。
・選択後の幸福感が高い。
もちろん、慎重さに欠けて後悔する場合もありますが、
多くの場合「自分の選択を信じる姿勢」が幸福感や自己効力感につながっています。
どちらが良い・悪いではない。
マキシマイザーは「分析力」に優れており、
重要な決断では高い精度を発揮する場面もあります。
一方、サティスファイサーは「行動力」や「感情の安定性」において強みがあります。
大切なのは、状況に応じて自分の傾向を自覚し、
「最善主義」に偏りすぎず、「十分主義」の視点を取り入れる柔軟性を持つことです。
より良い選択ができる自己とは
より良い選択とは、「正解を探す」ことではなく、「納得できる判断をする」ことです。
そのために必要なのは、次の3つの自己との向き合い方です。
1.自己基準を持つ。
他者の評価や条件ではなく、「自分は何を大切にしたいのか」「何を優先するか」を言語化しておくこと。
たとえば、転職なら「成長機会があるか」「家族との時間を保てるか」「給与水準より仕事内容」など、判断の軸をあらかじめ整理しておくことで、迷いが減りやすくなります。
2.選択の後に意味を見出す。
選んだことに対して、「なぜ自分はこれを選んだのか」「この選択は何を教えてくれたのか」と意味づけをすることで、満足感や納得感が深まります。
完璧な選択など存在しません。選んだことに意味をつけていく姿勢が、選択の質を高めます。
3.選べなかった自分を責めない。
迷ったり、間違えたり、後悔したりすることも当然あります。
そのときに、「なぜこんな決断をしたのか」と過去の自分を責めるのではなく、
「今の自分ならどう選び直すか」と、次の行動に活かす視点を持つことが、自己成長につながります。
選択の連続の中で生きている私たちにとって、
「どう選ぶか」は「どう生きるか」と同じ問いとも言えます。
マキシマイザーの慎重さと、サティスファイサーの柔軟さ。
両方の視点を行き来しながら、自分の選択を自分で肯定できる感覚を育てていくことが、
より良く生きるための“選択の技術”になるのではないでしょうか。
あなたは今、何を基準に選択をしていますか?
その問いに静かに向き合う時間が、自分らしい未来への一歩になるはずです。
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