ポジティブ心理学を活用する。
- 今井 秀司
- 4月20日
- 読了時間: 4分
前向きに生きる、には技術がある。
―― ポジティブ心理学を日常と仕事に活かす方法

「どうすれば前向きに働き続けられるか」
「もっと自分に自信を持って行動したい」
「心が折れにくい自分をつくりたい」
このような問いを持ったとき、従来の心理学は「悩みや不調をどう治すか」に焦点を当ててきました。
しかし21世紀に入り、心理学の潮流は大きく変わりつつあります。
それが、ポジティブ心理学という分野です。
ポジティブ心理学とは何か?
ポジティブ心理学とは、「人はどうすればより良く生きられるのか」「幸福や充実感の源は何か」を科学的に探る心理学です。
創始者はマーティン・セリグマン博士。
彼はこう問いかけました。
「心理学は人をマイナスからゼロに戻すだけでいいのか?
なぜゼロからプラスを目指す研究がなかったのか?」
この視点から、ポジティブ心理学は、幸福・強み・感謝・希望・レジリエンス・フロー・良好な人間関係といった、 人間のポジティブな側面を科学的に明らかにしていきました。
ビジネスにどう活かせるか?
ポジティブ心理学は単なる「ポジティブシンキング」ではありません。
科学的エビデンスに基づき、感情、行動、思考、人間関係に具体的な変化を生み出すことが目的です。
以下に、ビジネスシーンで活用できる代表的な切り口をご紹介します。
1.感謝の習慣で人間関係が変わる。
感謝を意識的に表現することで、組織の心理的安全性が高まります。
・「ありがとう」を口にする。
・誰かのサポートを3つ書き出してみる。
・週に一度「感謝の手紙」を送る。
このようなシンプルな実践が、協力しやすい職場環境を生み、信頼関係の土台となります。
2.強みを活かすと成果が出やすくなる。
ポジティブ心理学では「弱点を直す」よりも「強みを伸ばす」ことが重視されます。
自分の強みを知り、それを日常業務に取り入れることで、
モチベーションや生産性が向上しやすくなることが研究でも明らかにされています。
たとえば、
・好奇心が強い人は新規提案の場に
・親切心がある人は顧客対応に
・公平性を重視する人は調整役に
このように、自分の資質と業務をうまく重ねることで、自然なパフォーマンス発揮が可能になります。
3.レジリエンスを育てて折れにくい自分に
レジリエンスとは、「逆境から回復する力」のこと。
ポジティブ心理学では、レジリエンスは生まれつきではなく「育てられる力」とされています。
・失敗や不安を書き出し、そこにある“乗り越えてきた証”に気づく。
・「自分が過去に立ち直れた経験」をリストアップする。
・つらい出来事に意味を与える視点を持つ。
こうした実践により、自分自身の「立て直す力」に気づくことができ、
失敗や不調があっても、心が折れにくくなっていきます。
4.フロー状態を設計する。
フローとは、「時間を忘れて何かに没頭している状態」のこと。
これは高い集中と満足感をもたらすと同時に、仕事の成果にもつながります。
ポイントは以下の3つです。
・スキルと難易度が釣り合っているか。
・明確な目標があるか。
・フィードバック(手応え)が得られているか。
たとえば、「プレゼン資料を作る」という作業も、上記の条件を意識することで、ただのルーチンからフロー状態へと変化する可能性があります。
5.PERMAモデルで「幸福の5つの柱」を見直す。
セリグマン博士は、持続的な幸福をつくる5つの要素として、PERMAモデルを提唱しています。
P:Positive Emotion(前向きな感情)
E:Engagement(没頭・フロー)
R:Relationships(良好な人間関係)
M:Meaning(意味や目的)
A:Accomplishment(達成)
仕事のやりがいや人生の満足度を見直す際には、この5つの視点から自分の生活をチェックしてみることが効果的です。
ポジティブ心理学は、無理に前向きになろうとするものではありません。
ネガティブな感情があってもいい。
そのうえで、自分の中にある資源に気づき、それを丁寧に活かしていく考え方です。
職場でも家庭でも、自分らしいパフォーマンスを発揮するために、
「ポジティブに生きる技術」を取り入れてみませんか。
明日からできる、小さな実践が、長い目で見て大きな変化につながるはずです。
ピースライフジャパンの今井によるセルフマネジメントの重要性と具体的な方法を情報発信するウェブサイトコンテンツの名称です。随時更新。