OKRを活用した目標管理
- 今井 秀司
- 4月22日
- 読了時間: 4分
“目標に向かう推進力”をつくる仕組み
―― OKRを活用した、ブレない目標管理のすすめ

目標を立てても、毎日の業務に埋もれてしまう。
やっていることが、本当に目的に合っているのか分からなくなる。
成果を測ろうとしても、どこまでできていれば良いか曖昧。
このような経験は、多くの人に共通する「目標管理の落とし穴」です。
目標とは、本来「集中」と「推進」を生むためのもの。
その力を引き出すために、注目されているのがOKRという仕組みです。
今回は、個人でもチームでも活用できる「OKRによる目標設計」の基本と活用方法をご紹介します。
OKRとは何か?
OKRとは、「Objectives and Key Results」の略で、
目標(Objective)と、その目標を実現するための主要な成果指標(Key Results)をセットで設計する方法です。
世界的にはGoogleをはじめ、多くの革新的な企業が採用してきたことで知られています。
最大の特徴は、ただの数値目標やToDoリストではなく、
「意欲を引き出す目標」と「成果に直結する行動の追跡」が同時にできる構造にある点です。
OKRの基本構成
1.Objective(目標)
定性的で、意欲が湧くような方向性。インパクトや意味のあるチャレンジングな目標であることが求められます。
例:
・顧客満足度を圧倒的に高める。
・業務のムダを徹底的に削減する。
・自分の講座を社会人にとっての学びの選択肢に育てる。
2.Key Results(主要な成果指標)
Objectiveの達成度を測るための定量的な成果基準。通常は3〜5個に絞ります。
例:
・NPS(顧客推奨度)を+30に向上させる。
・全業務の所要時間を20パーセント削減。
・月間講座受講者数を100名に到達させる。
Objectiveが“感情に訴える旗”だとすれば、Key Resultsは“進捗を示す距離計”のようなものです。
OKRとKPIとの違い
KPI(Key Performance Indicator)は、主に業務の遂行管理やパフォーマンス測定に使われます。
一方、OKRは「何のためにそれをやるのか」というビジョン起点の目標設計です。
KPIがルートマップだとすれば、OKRは「なぜその目的地に行きたいのか」から始まる思考です。
そのためOKRは、個人の内発的動機づけを高め、チームの方向性を統一するのに適しています。
OKRを活用する5つの実践ステップ
1.Objectiveを「意味ある目標」として言語化する。
数字ではなく、感情や社会的価値が含まれる表現が望ましい。
例:「売上を上げる」ではなく、「顧客の信頼を得て、持続可能な売上成長を実現する」
2.Key Resultsを3〜5個、測定可能な数値で設定する。
「できた・できなかった」が明確な指標にし、曖昧な表現は避ける。
3.各Key Resultの進捗を定期的にチェックする。
月次・週次で振り返りを行い、「進んでいるか」「やり方を変える必要があるか」を検討する。
4.必要に応じて柔軟に修正する。
OKRは「達成すること」よりも「進化すること」が重視されます。
環境や状況に応じて見直すことは前向きな行為です。
5.達成率は60〜70パーセントが理想
OKRは高めの目標設定を推奨するため、すべて達成できていなくても良いとされます。
むしろ達成率が100パーセントのときは、目標が低すぎた可能性があります。
個人でOKRを使うときのポイント
・「目標は自分をワクワクさせるものか?」を必ず確認する。
・達成できるかではなく、「向かいたいかどうか」でObjectiveを決める。
・Key Resultには「具体的な行動」と「成果基準」を1つずつ入れると進捗が見えやすくなる。
・毎週1回、自分で進捗チェックと所感のメモを残すと振り返りの質が高まる。
OKRはセルフマネジメントの“土台”になる。
目標が行動とつながり、成果と意味が一致しているとき、人は自分の仕事や取り組みに納得感を持てるようになります。
OKRは、そんな状態をつくるための「言語化と構造化の技術」です。
ビジョンがあるのに迷っている人
方向性はあるのに集中できていない人
チームに共通の目的を持たせたい人
そうしたすべての人にとって、OKRは日々の行動と理想の未来をつなぐ橋渡しになるはずです。
目標は、ただ掲げるだけでは力になりません。
その目標が「何のためにあるのか」「どうやって進むのか」が明確になって、はじめて自分を動かす原動力になります。
OKRは、理想を描く勇気と、行動に落とす具体性の両方を持った、実践的な目標管理の手法です。
次の目標を立てるときは、ぜひObjectiveとKey Resultsのセットで設計してみてください。
そこには、納得して行動できる自分が待っています。
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